身体の保護機能からステイタスシンボルへ
毛皮は、その暖かさと身体を保護する機能のために、石器時代から活用されてきました。古代エジプト文明では、防寒用ではなく、毛皮を王や高位聖職者の権威を表すステイタスシンボルとして用いていました。ホメロスのギリシャでは、毛皮は戦時の服としてだけでなく、家庭の装飾用にも使われました。
北欧では、最初は外套の内側につけて、また10世紀からはトリミングとして見につけるようになりました。11世紀、12世紀にはビーバーの側で作った帽子がまず大流行しました。
この流行が発展して14世紀には毛皮の帽子、手袋、マフ、襟、コート類のライニングを作るようになりました。テン、クロテン、カワウソなどは、中世のヨーロッパで貴族や高級聖職者のステイタスシンボルとして、定着していました。
特に、アーミンは、王族の儀式用礼服や結婚式の衣装として欠かせないものでした。現在でも、イギリスの戴冠式には、アーミンのガウンを着用します。
17世紀になると、高級毛皮を求めて、世界的に探険家が活躍した時代となりました。クロテンを求めて、ロシアは、また、ビーバーを求めて北米へと進出していったのです。
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